環境事業
バイオマス燃料リポート
現在フィリピン ダバオ周辺地域で日系某大手企業がココナツシェルからキシリロースの抽出生産を昨年12月頃から開始していて、まだ試験生産ながら一ヶ月に約5,000tのシェルを原料として使用しています。
約5,000tのシェルから70%程度、約3,500tのココナツシェルの残滓が産出されます。
現在、約3,000tはヤシ炭及び活性炭として再利用されていますが、バイオマス燃料として炭化するコスト分と熱量を考慮した時、コストパフォーマンスで考えるとココシェル残滓そのままを燃料として使用した方が圧倒する。
※シェル(写真下)からプラント(写真右)でキシロースを抽出した残滓(写真右下) |
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利用目的
バイオマス燃料として石炭に混ぜて燃焼させる。故に混入量分はCO2削減効果として計算できる。
「ヤシ殻は同じ重量の石炭と比べると石炭の6〜7割の発熱量があり、混焼用の燃料に使用できると判断。まず自家発電の主燃料にしている石炭の約1%をヤシ殻に置き換えたいと考えている。
ヤシ殻はバイオマス燃料のため、ヤシ殻2万tを燃料として使用した場合、約2万tのCO2削減効果を有する。」
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![]() 枝の幅約25cm |
![]() 枝の厚さ約5cm |
以上、ダバオ市周辺地域の十数社(プランテーション農園を含む)を訪問した結果です。
フィリピンはココナツの生産量が世界最大で主要産物として考えられています。コプラ以外はまだまだ未利用部分が多く、日本の農業や工業のエネルギー分野で大きな可能性を秘めている上に、フィリピン政府もココナツの有効利用に国を挙げて政策として取り組んでいます。
故に、この分野において単に産業としてのみならず、対日感情が極めて良好な日比友好の一層の盛り上がりが期待できます。
石炭との対比 | 発電用石炭は主にオーストラリア、中国、インドネシアから輸入されていて2008年の高値($143/t)から2012年現在は20%以上下落して約$90/t
で取引されている。 熱量的には石炭の6〜7割程度であるが、1%の混入率やCO2削減効果を考えれば充分にその効果を発揮すると考えられる。(石炭は他の化石燃料よりCO2排出量が多い。) |
将来性 | 2012年8月にバイオマス発電は全発電量の5%を目標とされており、現在の0.3%からは大幅な拡大が見込まれる。 |